ルイヴィトンジッピーウォレットヴェルニコピー
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null「はい。いくつもありますが」 「どれでもいいから、車をとめやすいところへ連れて行ってください」  山岡はテキパキと言った。 「社へ戻っても話のしようがない。ホテルのラウンジなら静かでいいだろう。そこでゆっくり検討しようじゃないか」  車は砂利を鳴らして走りだす。 「癪《しやく》だな。あんな爺さんに敗けたくないよ」  栄介は指を鳴らし、いらいらと言った。 「落着け。幻覚を自由に起させるとは只事《ただごと》じゃない。昂奮すれば相手の思う壺《つぼ》だぞ」  山岡はポケットから煙草《たばこ》を出して栄介にすすめた。  気をしずめるための煙草に火をつけて吸いはじめるとすぐ、車は坂を登って大きなホテルの前庭へ入った。正面玄関に横づけし、 「お帰りの時はこの下の駐車係に言ってください」  と、心得た様子で二人に教えてくれた。 「コーヒーでも飲もう」  山岡は先に立ってホテルの中へ入った。ラウンジはすいていて、二人は大きなガラス窓のそばの席へついた。 「あのこんもりしたあたりが無仙の家だ」  栄介は目敏《めざと》く見つけて指さした。 「幻覚って、どんなものを見たんだ」 「ほかに言葉が見つからないから幻覚と言ったが、果してあれが幻覚と言えるかどうか判らない」