本物そっくり ルイヴィトン  モノグラム バス PM ショルダーバッグ ダークブラウン M56717
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null 桑木、倉川の両名も、舟木道場では傑出した剣士で、その日に備えて、兜割りの修練に、火の出る如き修練をつづけていると云われる。  そこに、第四の候補者が名乗りを上げたのである。  ダークホースの出現は、あながち珍らしいことではない。が、人々が、驚き、且《か》つ呆《あき》れたのは、その第四の候補が、十数年来舟木道場に住み込んで、門弟一同からは下僕以上にはみられていなかった屈木頑之助だったからである。  頑之助は、行き倒れた浪士の孤児を、舟木一伝斎が引取って道場においたものである。  少年の頃から醜悪な容貌と、境遇に不相応な倨傲《きょごう》な態度の為《ため》、道場においても何人にも愛されなかったが、一伝斎に命ぜられた仕事は、責任を以て果していた。  一伝斎が頑之助に目をかけたのは、頑之助が剣に天稟《てんぴん》をもつことを見抜いたからである。身分違いの為、正式の稽古《けいこ》には加わり得なかったが、その独特の凄《すご》みをもった太刀先は、次第に門下の間で評判となっていった。  が、時たま、頑之助と試合った門弟の誰彼《だれかれ》は、最後のドン詰りまで追いつめ叩《たた》きふせるその執念深い、しかも凶暴な太刀先に嫌悪の念を抱き、二度と立合おうとしないものが多かった。  頑之助が、「兜投げ」の剣技に参加したいと云う希望を申出たとき、一伝斎は、やや当惑した。門弟たちが、嫉妬《しっと》と憤懣《ふんまん》とを交えて激しく反対したからである。 「下種《げす》め、きゃつ、それ程の腕があると自惚《うぬぼ》れているのか、身の程知らずめが」  と、苦々しげに云う口裏には、あのガマ面で、千加どのに想《おも》いをかけているのか、と云う嘲罵《ちょうば》のひびきが潜められていた。  しかし、「兜投げ」に参加を望む者は、たとえ、行きずりの、無名の浪士と雖《いえど》もこれを拒まないのが、長年のしきたりである。  一伝斎は、何やら思案した後、遂《つい》に頑之助の参加を許した。  師からその旨を云い渡された時、頑之助の蒼黒い面に、かつて現れたこともない喜悦の色がパッと輝いた。門弟の一人の意地悪い表現をかりれば、正に「ガマが雨雲をみた時のように、ゴロゴロと喉《のど》を鳴らして」悦《よろこ》びを示したのである。 [#ここから5字下げ] 二 [#ここで字下げ終わり]