プラダ財布メンズ新作
null
null 勝長は、信長の末子である。  武田勝頼の父信玄は、曾てその在世中、美濃の岩村城を攻めたことがあった。信長の末子勝長は、当時その城主の養子であったが、人質として武田方に渡された。そして、後に信玄の養子にされ、今日に及んでいた。即ち、信長の末子が信玄の養子になっていたわけである。それが、十余年経て、突如その父信長のもとに帰されて来たのだ。 「武田に戦意があらば、人質は貴重かと存じまする」 「では、戦意がないと申すのか、武田には」 「いえ、戦う気はないと、見せかける謀略かとも……」 「柴田は、これを絶縁状だと申して居る。信玄が勝長を養子としたるは、いわば政略縁組み、その縁を勝頼めは切り捨てたとな」 「なるほど。しかし、たとえ勝頼はそのように高飛車に出たとしても、さて、武田の家臣たちに、それほどの意気がありますか、どうか」 「うむ。わしもないと思う。信玄が死んで十年、もはや武田は虎ではない。猫に過ぎぬ。その猫が、勝長を突っ返して来た」 「勝頼は、未だにおのれを虎と過信しているやも知れませぬ。猫がおのれを虎だと思いこめば、これは滑稽というもの。しかし、家臣は、おのが主が猫か虎か、よう弁《わきま》えておりましょう。弁えておれば……」 「弁えておれば?」 「いくら、猫が強がっても、人心は離れるばかり……」  光秀の言葉に、信長は心地よげに声を上げて笑ったが、 「武田に総攻撃をかける! 時は二月末だ」  と言い切った。 「二月末でござりまするか」 「遅いと申すか」 「いえ、もしかしたら、殿、その前に日ならずして武田の中に謀反が起きるやも知れませぬ」 「何? 謀反が?」