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2015-01-30 04:52    プラダメンズ財布値段
 心の準備をしてピアズは、震える手でそっと封を開けた。瞬間ふわりと、娘の甘い香りがしたような気がする。  いかにもマリナらしい、気の強そうな右上がりの文字。たった便せん一枚だけのその手紙を、むさぼるように何度も何度も読み返した。 「マリナ……マリナ、マリナ……」  眼帯をしていないほうの目から、涙がこぼれ落ちる。娘からの久しぶりの手紙は、子供が生まれたことを報告するものだった。  ああ、とピアズは天を仰いだ。新しい命の誕生を伝えるそれは、ピアズにとってまるでデルマリナがこの災禍の中からふたたび蘇《よみがえ》ると予言したもののように思えた。  だいじょうぶだ。きっとデルマリナは、復興する。マリナはきっと、幸せになる。そして娘の子供たちは、やがて成長し、船に乗って海を渡り、美しいデルマリナの都市を目にすることになるだろう。  ピアズは昂然《こうぜん》と頭をあげ、暑気と腐臭が見えない重さとなってのしかかっているような街を見つめた。しかしピアズの目には昔のままの、以前よりももっと美しく栄えた、デルマリナの市街が見えるようだった。  邸にもどったピアズは、少し迷ったすえ、引き出しの鍵をあけた。  いまはライス領主となったあの男の手紙など、もちろんまだ読みたくもない。けれど、短い娘の手紙に記されてなかったことが、あの男の手紙には書かれているかもしれない。たとえば娘の日々の生活のこと、生まれくる子供たちへの期待、出産の準備など——ピアズはいま、少しでも娘とその子供たちのことが知りたかった。  中から取りだした封も開けていない手紙は、全部で六通あった。初めのころに届いたものは表面が黄ばみ、インクも退色している。  ピアズは手紙を順番にならべると、一通ずつ開封していった。  意外なことに、彼からのどの手紙にも、ひとことも過去を謝罪することばはなかった。父親から娘を奪った男がどの手紙にも記していたのは常に、未来についてだったのだ。ハイランドの未来、デルマリナの未来、人々の未来、そして自分たちの未来について。  領主となったからといって、彼には前途洋々たる未来がひらけているわけではない。実際、たとえばライス領が経営する農園で働く島人たちに、労働の対価を支払うことには、まだ領内でも根強い反対の声があるらしい。だが彼は、反対者たちを責めるのではなく、ここまでのことができるようになったと喜んでいるのだ。島人たちへの差別を嘆くのではなく、違う領の島人たちが互いに力を合わせ港で働くことができるようになったのだと喜ぶ。そして、次の段階へすすむために、いまから自分はこんなことをするつもりです、と真面目な語り口で力強く決意してみせるのである。  手紙をすべて読み終えてピアズは、心の底から悔しいと思った。自分はこんなふうに、力強く未来を語ったことなどない。私の目の前にあったのは常に、とりのぞくべき障害か、手に入れて当然の栄光だけだ。  ふと、海賊となった金髪の若者が言ったことを思い出す。 『あんたはさ、他でもない自分の人生に復讐したいんだよ』  みじめでみじめでどうしようもなかった、若い頃の自分に復讐しているのだ——そう若者は言った。あのときは、何もわからぬ海賊ふぜいが何を言うかと腹立たしいと同時に、なにかいきなり足もとをすくわれたような不快感をおぼえたものだったが……。そうか、とピアズは今になって思う。あの不快感は、いちばん隠しておきたかった場所をさぐり当てられてしまった、という自覚だったのだ。  ピアズは書きもの机の上に散らばった手紙を見おろし、かすかに震える指先で、片目の眼帯をなぞった。